G8亀倉雄策展/ソール・スタインバーグ

過日行われていたG8ギャラリーの亀倉雄策展。
幻のクリエイション誌20号のエピソードが印象的だったので、記録がわりに。

最終刊の20号は、ソール・スタインバーグの大特集で最終号を飾る。
10号の頃から、亀倉さんはそう考えていたそうだ。
ところが、僕もはじめて知ったのだが、晩年のスタインバーグは有名な人嫌いで、
マンガ家、イラストレーターと呼ばれることは避け、画家の道を歩んでいたらしい。

当初から、掲載はとうてい不可能と予想されていたが、
手紙や雑誌を何度も送って依頼する。しかしまるで返事はない。
それでは私が交渉してあげましょう、
と動いてくれた方が何人もいたがいずれも不調に終わった。
その中には、あのミルトン・グレイザーもいたらしい。

最後の手段として、渾身のダミー本を作って交渉にあたる。
運良くスタインバーグの契約ギャラリーのキュレーターが説得しようと名乗り出てくれた。
今度こそはと胸を熱くして返事を待ったが、結局は失敗に終わってしまった。

キュレーターは、スタインバーグの自邸を訪ね頼んでくれたらしい。
しかし次の返事に、引き下がるしかなかったという。
「本が優れたものだということはよく分かっている。
しかしこれが私の最後の生きざまだ。だから許して欲しい」
亀倉さんもこの言葉を聞いて、感情がこみあげたという。そんな話。

自らカラーコピーで作ったというダミー本も
一緒に展示してありましたが、それは美しい仕上がりでした。
亀倉さんぐらいの偉い方がこんなにも情熱を持って、
スタインバーグとの交渉にあっていたなんて初めて知りました。
なんだかリスペクトがあっていい話ですね。