美術館にて

先日、とある美術館でのこと。
「あの〜、ここの美術館に作品を飾りたいのですが…」
見ると、老夫婦のおじさまがカウンターの職員に尋ねている。

「恐れ入ります。こちらの美術館は、全て企画展でして
年間スケジュールが決まっております」

それはそうだろう。
でも、そこを敢えて尋ねるということは、
もしかして有名な作家かコレクターではないだろうか?
(ばかもん!ワシを知らんのか〜、ずぐ館長を呼べ!)
そんなドラマ仕立ての展開を期待して、耳をそばだてた。

「あ〜、そうですか」とおじさまはとても残念そう。

そのとき、寄り添っていた奥様が口を開いた。
「あなた、何を飾りたいの?」
「いや、最近買った型染めのタペストリーをな。
あれはすごく大きいし、せっかくならみなさんに…」

なんか微笑ましかった。