秘密の知識

友人に教えてもらったデイヴィッド ホックニーの「秘密の知識」を読む。
推理小説みたいに一気に読んだ!おもしろい!

歴史に残る古典作品を制作年順に並べていくと、
15世紀半ばから写実的な作品が増えてくるのが分かるらしい。
自らも画家であるホックニーは、その辺りで多くの画家が
光学機器(鏡やレンズ)を用いた制作を始めたのではないかと推理していく。

実際これは秘密でもなんでもなくて、
何かを使ってるんだろうなと感じていた人は多いように思う。
ただ、それを画家ホックニーが創作活動そっちのけで、
2年の歳月をかけ学術的に証明していこうとうするところが興味深い。

この写実的な傾向は、15世紀半ばから
写真が一般化していく19世紀末辺りまで続いていくのだけど、
自分の好みでいうとこの辺りの作品は、好きなものが少ない。
神業的なデッサン力に、圧倒されてしまうのがその理由。
ところが嬉しいことに、この本を読むと、当時の画家たちの様々な苦心が
徐々に解き明かされ、天才画家たちに親しみが湧いてくる。

また、なぜだかアジアにはこうした技術が伝わっていた形跡は少ない。
日本でいうと、戦国時代から安土桃山、江戸時代。
写実的な信長の肖像画が残っていて欲しかった気もするが、
もしかするとそれがよかったのかもしれない。
ときは、琳派に若冲、広重、北斎と日本画の最盛期。

ちなみに、ホックニーも言ってる通り、
光学機器を使っていようがいまいが、作品の価値にはまったく関係がない。
使っていても良い作品は作れるし、使っていなくても作れる。
何を使っても良い作品が作れればいい、というところがアートな自由なところ。

絵の好きな子供に、こういう本プレゼントしたら喜ぶはず。
夏の読書にオススメです。